8月某日、やさい村でもとり扱っている川根薪火三拾年番茶の生産者で、川根茶で有名な静岡県川根村に工場を構える「PEACE TEA FACTORY」を訪ねました。
麓には大井川があり、豊かな自然の中で作られる三拾年番茶。どんなお話が聞けるか楽しみです。
出迎えていただいたのは、代表である東洋文さん。(写真左)
早速、工場の設備を案内してくださいました。
収穫・加工時期ではないため実際に機械が稼働しているところを見ることはできませんでしたが、東さんは身振り手振りを交えながら、丁寧に説明してくださいました。
まずはじめに説明していただいたのは、断裁機。三拾年番茶に使われる「葉」と「茎」。茎を断裁しつつ風を送り、葉(軽いため遠くに落ちる)と「茎」(重いため手前に落ちる)を選別します。
断裁した葉と茎を焙煎機の中に入れ、薪火で焙煎します。大きいものはその場で斧で割って焚べているそうです。(どれくらいの時間で焙煎するのか)薪火のため、火力の調整は手作業で目が離せません。
状態を確認しながら、薪を焚べる。根気のいる作業です。
焙煎した「葉」と「茎」はしっかり乾燥させ、保管します。
御茶所静岡県において、初の薪火で番茶製造を行うPEACE TEA FACTORY。釜戸を担当する「釜爺」こと内沼さんは「次からは火起こしも火打石から始めようかな〜」、と笑いながら話していました。
設備の説明を聞いた後、三拾年番茶についてお話を伺いました。
この日は35℃を超える猛暑日。「暑いでしょう」と冷えた三拾年番茶を出してくれた東さん。ホットだけではなく冷たい三拾年番茶もとても美味しかったです。
東さんは奈良県の「健一自然農園」にて番茶の製造を勉強され、今に至るそうです。
普通のお茶は「やぶきた」を使用していますが、PEACE TEA FACTORYの川根三拾年番茶では「静岡在来種」を使用しています。
保管している茶葉と茎も見せていただきました。
普通のお茶葉(写真左)よく見る感じですが、在来種の茶葉(写真右)は肉厚で色も濃く、見た目も大分違います。
三拾年番茶のお話を伺った後は実際に茶園を見せていただきました。
在来種の茶園は、お茶農家さんが高齢で管理できなくなった方や、跡継ぎがおらず放置されたままになった茶園などを譲っていただいたりしているそうです。そのため、茶園は1箇所ではなく離れた場所にいくつもあり、管理も大変そうでした。
お茶畑というと、腰ほどの高さの茶樹を連想していましたが、三拾年番茶の茶樹は悠に背丈を超え、幹も太く、これがお茶?!と思うほど立派なものでした。
何も言われずこれらを見ても、お茶の樹とは気づかない人の方が多いのではないでしょうか。
太い幹から、若葉が芽生えているところも。
これだけ立派な茶樹。茶樹を収穫するのも人手ではなかなか難しく、機械を使わないと切ることができません。そこから工場へ運んで、加工をします。
刈り取った茶樹は、傾斜のついた足場の悪い環境を担いでトラックへと積み込む作業も大変で体のあちこちが痛くなると話されていましたが、茶樹を前に、すごく楽しそう(嬉しそう)に話している姿が印象的でした。
自然栽培のお茶にこだわり、人と地球にやさしい PEACE TEA FACTORY が造るまろやかで優しい味わいの三拾年番茶をご賞味ください。
1:川根在来茶であること
2:樹齢50年以上の茶樹であること
PEACE TEA FACTORY KAWANE
川根三“拾”年番茶
120g 1,500円(税別)
3g×20パック 1,500円(税別)
PEACE TEA FACTORY KAWANE
川根三“拾”年番茶
3g×3(ティーバック)300円円(税別)
在来種とは…昔から日本にある品種で、人によっては山に古くからある野生種と説明する場合もあります。
日本における茶樹の在来種とはお茶が日本に渡来した当時の品種の事を指し、渡来種ともいえます。
また、静岡のお茶は’エイサイ’と言う僧によって伝えられたといわれており、在来種はこの’エイサイ’が持ち込んだ当時のお茶に近いと考えられています。
在来種の特長としては根が深く、長く伸び、茶葉の形状が烏龍種に近い。
やぶきた種が一般的になっている今ではお茶所静岡でもほとんど見られないそうです。